匠の技
トーホクさんの生産能力は一日に1万5千膳。 工場での機械を使った大量生産とはいえ、その工程の多くには人の手が入る。地元のおばさんたちも、がんばっている。 切り出し 積層材をカット。実演していただいたのは副工場長の工藤さん。 ブロック状の材料を…
16世紀のヨーロッパの書物をエルビーエスで復刻した本。デザイン性の高さに目を奪われる。 補修も仕事。 前段では図書館製本のうち「造本工程」を論文製本の例を用いて見てきた。 一方、長い年月を経て傷んだ完成本を補修したりリメイクする作業も図書館製本…
複数の本をまとめて締めるときに使う「金輪(かなわ)」。角板(つのいた)とセットで使う。 綴じる。 かがり綴じ(糸綴じ)は、8ページ程度にまとめた折丁(おりちょう)を一折りずつ糸で綴じ合わせ背固めする図書館製本の王道ともいえる製法。くり返され…
中塗り一年、上塗り一生。 中塗りを経て、塗りの最終工程となる上塗りは全体の仕上がりをチェックする検品も兼ね、もっとも熟練を要する。 担当している佐々木大輔さんは若手のホープ。服飾の勉強をし、その業界から転職してきた努力の人。下地、中塗りを経…
布着せから、錆付け、そして錆固め 業務用の漆器に求められるのはコストだけではない。要求される強度と耐久性は、一般家庭用の比ではない。構造的に弱い部分、ぶつけやすい部分、傷つきやすい部分には「布着せ」といって、麻布や寒冷紗を糊漆(のりうるし)…
へら削り。 塗りのすべてはここからはじまる。見習いさんが最初に習うのも、ここから。一日、何十本も、ひたすら削る。 木べらは塗りの第一工程である「下地」に使う道具。 木べらに用いられる二レの木は、下地づくりに欠かせない適度な反発力としなりを持つ…
作り手の個性ではない。挽き出すのは、木の個性。 木地師は大きく分けて3つに分類される。 薄く削いだ板を巧みに曲げて加工する曲物師(まげものし)、釘を使わずに木材の加工と組み方によって箱物をつくる指物師(さしものし)。3つめが、椀といった丸物…
全国にいくつかある産地の中でも、ここ山中だけで行われている特殊な方法がある。「縦木取り」と呼ばれる木材の切り出し方だ。 通常の産地は原木を成長方向にスライスした板材を使うのに対し(横木取り)、山中は輪切りにした材を使う。料理を例にしていえば…