一厘 ichirin

手仕事による和雑貨と、ぬくもりのライフスタイル

東工大のお膝元で。現代の製本師(東京都大田)

 技術系・最高学府のある町で。

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東急線大岡山駅を出ると、奇妙な造形の建築物が目に飛び込んでくる。門は開かれ、学生たちがのびやかに歩く明るいキャンパス。ここが技術・理工系の最高学府として日本のマサチューセッツ工科大学にも例えられる東京工業大学である。

ちょっと裏手に目をやると、どこか懐かしい佇まいの喫茶店やファミリーレストラン、居酒屋が並んでいる。その奥には住宅地がどこまでもつづく。路地奥の住宅地の一角に、製本業を営むエルビーエスのビルがあった。

東工大からは、年間1万5千冊から2万冊の学術図書が製本に出される。この会社では、そういった製本需要を事業の柱のひとつにしている。同社には学内で執筆された論文だけでなく、学術論文誌や情報誌なども持ち込まれ、合本という形で製本されたり、縮刷版としてまとめることもある。これらはすべて大学側で規定されたスタイルで製本され、書庫に収められる。エルビーエスでは、東工大の他に150校もの取引先の製本を請け負っている。

 

出版社と印刷工場によって大量生産される雑誌や書籍。これらを生み出す機械化された製本を出版製本と呼ぶのに対し、エルビーエスのように手作業でひとつひとつの本を作っていくことを「図書館製本」という。

先述の論文、学術誌の他、図書館の蔵書や文化的価値の高い古文書など、長期保存を目的とした堅牢な製本法である。広義には製本だけでなく、修復も含まれる。

最近でこそ図書館でも出版製本された本をラミネートしただけの蔵書も多く見られるが、世界文学全集の棚に行けば、図書館製本によって同一の体裁で揃えられた重厚な背表紙の列を見ることができるだろう。

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特許を取得した画期的な「綴じ製法」

 

綴じ製法「ケミカルソーイングシステム」

(特許No.1644552)


独自に開発した綴じ製法で、背全体を一枚の紙として一体化させる製本方法。 このシステムにより、他のあらゆる綴じ製法のデメリットを解消し、非常に丈夫でありながらしなやかな仕上がりを実現。さらに、綴じの工程時間が従来の製法の3分の1以下に短縮され、納期短縮と価格の引き下げを可能にした。 

(株式会社エルビーエス・ホームページより抜粋)

 


電子箔押しシステム「ピモジカ」

(英・独・仏・特許No.0749830)


それまで手作業に依存していた箔押しを、コンピューターによる自動箔押しシステムとして開発。このシステムにより国内外のあらゆる文字の、書体・レイアウトが自在に作成できるようになった。

(株式会社エルビーエス・ホームページより抜粋)