一厘 ichirin

手仕事による和雑貨と、ぬくもりのライフスタイル

積層材の箸とは?

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積層材、集成材、合板のちがい

 積層材は複数の木片を接着剤で貼り合わせて作った木材である。

 元となる材料が一片数センチの木片だと「集成材」、数ミリの薄い板状だと「積層材」や「合板」になる。

 積層材と合板の違いは、貼り合わせる板の繊維方向。交互に繊維方向を直交させたものが合板で、同一方向で貼り合わせたのが積層材。

 合板は面としての強度にすぐれ「板」として使われるのに対して、積層材は柱状にしたとき強さを発揮する。だから棒としての強度が求められるお箸にはうってつけの材料なのだ。そこに目をつけたのが株式会社トーホクだった。

 トーホクは意外なことに、もとは東京の箸メーカーで、業界に大きな存在感を打ち立てたのは木製箸ではなくメラミン樹脂の箸の成功による。後に創業者の故郷である秋田に工場を設けた。そして建築用の高級資材だったマカンバの積層材を使った箸の開発に成功する。

 この積層材で作った箸は、これまで至高の材料として珍重された世界三大銘木の紫檀(シタン)、黒檀(コクタン)、鉄刀木(タガヤサン)のいずれよりも高い強度と耐久性を打ち出したのである。

 通常、木箸は使っているうちに箸先がけばだって白くなってくるものだが、積層箸なら大丈夫と同社の工場長である鍬崎さんは胸を張る。

 

 

積層材で作られた積層箸

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自由な色、デザインも積層箸の強み

 積層材の製造過程で塗料を混ぜこむことができることから、積層箸は材料自体に自由な色を施すことができる。

「いろいろな色を試してみましたが、墨味、黄肌、朱面の三色に落ち着きました」と、鍬崎さん。

 使っていても箸先の色が落ちないのは、塗り箸のように表面だけを塗っているわけでなく、材料自体に色がついているからでもある。

 三銘木に勝る完璧な材料と、盤石の三色。最後にトーホクがこだわるのはデザインだ。

 単に奇抜なだけでは道具として失格。使いやすさを追求してのデザインでなければならない。太い箸から極細箸、ひねりや凹凸、すべり止め・・さまざまなデザインの箸を開発できるのも、積層材という良質の材料があってこそ。

 木箸の味わいを持ちながら食洗機にも対応する耐久性の両立が評価され、太めで力強さを打ち出した「大黒柱」シリーズが市場で大ヒットしただけでなく、学校給食をはじめとした業務用途でも高い実績を誇っている。

 

ひねりを施した積層箸 

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入荷した状態の積層材。関東のメーカーから取り寄せているという。

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トーホク秋田工場

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