一厘 ichirin

手仕事による和雑貨と、ぬくもりのライフスタイル

積層箸の製造工程

トーホクさんの生産能力は一日に1万5千膳。

工場での機械を使った大量生産とはいえ、その工程の多くには人の手が入る。地元のおばさんたちも、がんばっている。

 

切り出し 

積層材をカット。実演していただいたのは副工場長の工藤さん。

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ブロック状の材料を、箸の厚みにカット。

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今度は一本ずつの大きさにカット。先に向かって細くなる箸の形状に合わせて、無駄がないように材料の端の端まで使う。

しゅっしゅっしゅっと、小気味よいテンポで箸状になった棒が弾き出された。

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材料が残り少なくなると、丸鋸の鋭い刃先が指のすぐ近くまで迫る。見ていてハラハラ。

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自動すり機にかけて、角張った角を落とす。

断面が真四角だった棒の角がとれ、箸らしいやさしさが見えてきた。

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さらに頭の部分、箸先の部分の角を落としていく。これは手作業。

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加飾

箸にデザイン的な装飾を施す工程。

ベルト状のグラインダーで、ひとつひとつのくぼみやひねりを削りだしていく。ここは完全な手作業。

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加工前(左)と加工後(右)

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磨く

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ガラ袋に数百本の箸と研磨剤を入れ、水をかけながら一昼夜、ひたすら回転させる。「水洗い」という工程だが、そんななまやさしいものではない。

24時間ものあいだ、箸はガラ袋の中で押し合いへし合いで揉みくちゃ。こんなに厳しく鍛えられている箸だから、食洗機などへっちゃらなわけだ。

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水を吸った箸を乾燥。(写真は通常の木材箸)

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複雑なデザインの積層箸については、機械による「水洗い」だけでは微妙なくぼみまで磨きあげることができない。こういった箸は微妙な凹凸に合わせての手作業でのバフ掛けをする。

「羽布」と書いて「バフ」。フェルト製のグラインダーを回転させ、膝で押し付けながら箸の曲面をなぞる。力加減、角度、すべてが職人の経験と感覚だよりの手作業、いや足作業である。

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磨き上げられた積層箸は、透明のウレタン塗装が施され、また乾燥。こうして検品、袋詰めされた上で、やっと完成となる。(写真は通常の木材箸)

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