一厘 ichirin

手仕事による和雑貨と、ぬくもりのライフスタイル

2014-06-26から1日間の記事一覧

越前漆器・製作工程(2)下地

布着せから、錆付け、そして錆固め 業務用の漆器に求められるのはコストだけではない。要求される強度と耐久性は、一般家庭用の比ではない。構造的に弱い部分、ぶつけやすい部分、傷つきやすい部分には「布着せ」といって、麻布や寒冷紗を糊漆(のりうるし)…

越前漆器・製作工程(1)木地固め

へら削り。 塗りのすべてはここからはじまる。見習いさんが最初に習うのも、ここから。一日、何十本も、ひたすら削る。 木べらは塗りの第一工程である「下地」に使う道具。 木べらに用いられる二レの木は、下地づくりに欠かせない適度な反発力としなりを持つ…

分業との決別。親子二代の挑戦(越前・土直漆器)前編

分業との決別 漆器の生産工程は大きく分けて、木地(素地)、塗り、加飾(蒔絵・沈金など)の三段階がある。かつては地域ごとに、これらの各工程を家庭内手工業として分業させ、産地問屋がプロデューサーとなって生産管理、流通を取り仕切っていた。 先に述…

業務用漆器という活路(福井県・越前漆器)

いにしえには日本を代表する輸出品であり「ジャパン」の訳語も与えられた伝統漆器だが、現代はまさに受難の時代といえる。ライフスタイルの変化による需要の低迷と、職人の高齢化、後継者難といった構造的な問題は根深い。 多くの産地が今、存亡をかけて戦う…

弁当忘れても、傘忘れるな(石川県山中)

天気予報は晴れだった。 雨が降っている。山中温泉。 ときどき、ざあっと、旅館の部屋にいてもちょっと身構えてしまうほどの音を立てる。新緑の沢から立ちのぼるごうっという唸りとまじって渓谷に響き渡り、すさまじいことこの上ない。 「弁当忘れても、傘忘…