晩秋の障泥烏賊(あおりいか)
窓の外では北風がうなりを上げている。
小春日和の日があれば霜の降りる朝もあり、そんな行きつもどりつをくり返しながら、季節は着実に晩秋から初冬へと移ろいつつある。
意外に思うかもしれないが、この季節、海に出ることはさほどきつくはない。夏のあいだにたっぷり太陽の光を取り込んだ海はまだ暖かく、小舟の上でかじかんだ手を海水につければ、ほんのりとしたぬくもりが血を通わせる。
相模湾の晩秋はアオリイカの季節。日の出とともに釣り上げた烏賊を朝食にいただく。お椀は小田原産の銘木シリーズ。桜、橅、栗、くるみ、楢の5種類の器から、今日は透き通った烏賊の色を楽しみたくて橅を選んだ。
お箸は木曽ヒノキの白木箸。
南木曾の山の木々はもうすっかり葉を落とし冬支度もすんだころだろうか。