一厘 ichirin

手仕事による和雑貨と、ぬくもりのライフスタイル

モノを売るのではなく技術を売る(石川県山中・株式会社たつみや)

「モノを売るのではなく技術を売る。ひいては山中の伝統技術を守っていく」

 

全国の生活雑貨店やスーパーのランチボックス・コーナーでもおなじみ、定番商品からユニークな商品まで、HAKOYAブランドで全国的に流通しているお弁当箱を製造しているのが、たつみやである。

冒頭は社長の山口雅功さんの言葉。 

いまや日本のみならず、BENTOはグローバルに認知された言葉で、お弁当箱は世界からの注目も熱い。そんなお弁当箱の市場だが、じつは超多品種少量生産の世界。

売れ筋お弁当箱1位の商品でさえ、全体に占める割合は、わずか1%強。ましてや2位以降は、ひたすらロングテールを突っ走っているわけである。 これだけ少量超多品種に対応するにあたって、果たして工場による生産が効率的なのだろうか。

そもそも生産を効率的にするために工場制が発達してきたわけだが、工場は同品種を大量生産することにむいており、少量多品種、ましてや少量・超多品種となってくると、ちょっと苦手だ。こまわりのきく家庭内手工業の方が効率がよくなるという逆転現象が生じてくる。

たつみやのある石川県山中は、もともと伝統的な漆器の産地だったのだが、プラスチックにウレタン塗装を施すという新しい漆器のありかたを考案し、合成漆器(近代漆器)という位置づけで効率的な生産と流通体制を整え、今や全国シェア一位を誇る産地。全国で伝統産業が廃れていく中、進取の精神で生き残りに成功したばかりでなく発展をつづけてきた。

ところが近年は価値観の多様化によって、商品サイクルの短かいデザイン寄りの商品が求められるようになり、これまで盤石だった定番商品だけに頼ってばかりではいけないと山口さんは感じている。

合成漆器の考案によって工場生産・全国流通の道を切り拓いてきたたつみやである。この新たな課題にも、きっと持ち前の進取の精神で道を切り拓いていってくれるはずだ。

 

 

HAKOYAのホームページでは、辞書型やデザイナーズ、キャラクターものなど、ユニークな商品が画面いっぱいに広がっている。ネットショッピングでの購入も可能だ。

弁当箱/BENTOのHAKOYA・たつみや ランチボックスの企画・製造

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