一厘 ichirin

手仕事による和雑貨と、ぬくもりのライフスタイル

桧笠の里 蘭(あららぎ)

馬籠宿から石畳の旧中山道を進む。馬籠峠を越え、九十九折りの急勾配を下っていくと大妻籠を経て国道にぶつかり、左に折れれば有名な妻籠宿である。

一方、妻籠宿とは反対方向に国道256号線を清内路峠の方に向かって高度を上げていくと、山あいの谷に赤い屋根が所狭しとつらなっているのが見えてきた。

蘭(あららぎ)の集落である。

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 国道沿いにはガソリンスタンドと道の駅のような施設が向かい合って建っていた。

看板には「ひのき笠と手工芸の里 蘭」とある。

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さっそく「檜笠の家」という看板を掲げた店に足を向ける国分と奥山。

 

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信州出身の奥山は、気がつけば、すっかり店のおばさんと話し込んでいて溶け込んでいる様子。

国分は、店内にならぶ桧製品に無駄のない動きで目を走らせ、ときどき手に取っている。

「ここはやっぱり笠が売りなんだね」

そう。店の看板も「檜笠の家」。

「頭にかぶる笠は難しいなあ。ジャンプ笠みたいになれば・・」と、頭の中で桧ジャンプ笠の構造を考えていた。確かに猛暑の都内では「男の日傘」が話題になっている。単なる日傘ではなく、桧笠の技を現代的にアレンジできないものか。

蘭桧笠は寛文二年(1662)、飛騨から技法が伝えられ、耕地の少ない蘭の主要産業として明治期に最盛期を迎え、生産数は百万枚に及んだという。

現在の桧笠は長野県伝統工芸品に指定され、天竜舟川下り、御嶽山登山、釣り人や祭りなどで一定の需要はあるそうだ。しかし後継者の問題もあり、蘭でも匠の技の継承は安泰ではない。

桧笠の技術を使った新しい需要開拓の努力はなされている。

「桧バイザー。これは悪くないね」

少しデザイン的な工夫を入れられれば、おもしろい商品になるかもしれない。この店では端材を有効活用した桧の入浴剤とならんで売れ線らしい。

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もうひとつの売れ線がくつの中敷き。

奥山は女性のパンプスにも使える細身のがあればいいのにと言っていた。

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さっそく桧の中敷きを購入して試す国分と織田。

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この店で、奥山が買っていたのは桧の菜箸(漆塗り)。そういえば菜箸といえば、どれも竹製の丸いものばかり。桧の断面が四角の菜箸は、料理するときの気分も違ってきそう。持つととにかく軽さに驚く。

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菜箸に桧は高級すぎるのでは? 耐久性は?

「漆で塗ってあるのでだいじょうぶだと思います」

と、奥山がきっぱり。

「天ぷらでも?」と私。

「だいじょうぶです」

そのきっぱりぶりに、私も買うことにした。気合を入れたわりには拍子抜けするぐらいに安価であった。

 

 

あららぎの里マップ(拡大表示できます)

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